少年とエロテープ
みんな、エロテープって知ってるかな
エロ小説(文字)→春画(絵)→エロ本(写真)→エロビデオ(動画)と、人間の性に対する欲望は止まるところを知らず、グングン進化を続けてきたエロメディア。21世紀な現在ではブロードバンド&エロDVD時代に突入し、部屋にいながらにして海を越えた異人さんの国からの無修正おチンチンビンビン画像をクリック・クリックで次々に見ることが出来たり、しょうもないインタビューシーンなんてチャプタースキップでビュンビュン飛ばして、肝心の本番シーンではマルチアングルでお好みの角度からカワイコちゃんのあられもないお姿を好きなだけ頂戴できてしまうという、万年エロ日照りで常時おっぱいを欲して止まなかった中学生の頃のボクが七夕の短冊に願っちゃうくらい必死で夢想していた、夢のような未来が現実のものとなっている。…そんなエロメディアの歴史の中で、一瞬だけ輝いて消えていった時代の徒花とも言うべき存在、エロテープをご存じだろうか。
エロテープとは、いわゆるオーディオカセットテープの中に女性のアヘアヘ声が収録されているという、まあそのままズバリのエロ声テープなのだが、ボクは中学から高校にかけての一時期、このエロテープに思いっ切りハマッていたのだ。世代的にいうとボクは完全にエロビデオ世代で、近所のレンタルビデオ店の中には巨大なエロビデオコーナーがあったし、ボクが愛用していたエロ自販機の中にはエロビデオも入っていたため、エロビデオを手に入れる手段はいくらでもあった。しかし、いかんせん自分部屋にビデオデッキもテレビもなかったのだ。時々クラスのエロ友達からオススメのエロビデオが回って来る事もあったのだが、それを見るためにはリビングにある32インチの大画面テレビ(サラウンドスピーカー付き)を使用するしかなく、ホントに一苦労だったのだ。しかもリビングの隣の部屋には両親の寝室があり、エロスビデオを堪能するためにはメタルギア・ソリッド並の隠密行動を要していた。
そんなビクビク、オドオドの気分で一人フィーバーしても気持ちよくもなんともない! …そんな時に出会ったのがこのエロテープだったのだ。もちろんただのカセットテープなので、音しか聞くことは出来ないのだが、安全な自分の部屋の中でウォークマン&ヘッドフォンで心ゆくまでエロワールドを堪能出来るというのはこの上ない喜びだったのだ。
そんな感じで、当初はお気軽に見ることの出来ないエロビデオの代用品としてのエロテープだったのだが、何本か購入するうちにボクはエロ本にもエロビデオにもない、エロテープならではの魅力に取り憑かれてしまった。結局、エロ本にしてもエロビデオにしてもビジュアル的に女の子の姿が見えてしまっているために、逆にどうしても自分の脳内での妄想にリミッターがかけられてしまう。要はエロ本、エロビによるエロ妄想は映っている女の子のルックスに頼るしかなく、限りなくボクの好みに適合した抜群のおっぱいフォルムをしている女の子なのに、どーにもこーにも鼻の横っ面のブサイクぼくろが気になって興奮仕切れない…なんて事がままあるのだ。
その点、音声だけのエロテープには限界がない。エロテープ内で展開されているアヘアヘ声に合わせて、アイドルでも、クラスのカワイコちゃんでも、女教師でも…自分の妄想力次第でどんな絶世の美女のエロシーンでも再現することができる! これはスゴイ。
また、エロテープはエロビデオなんかに比べてはるかに低予算&やっつけで作られていたというのも、逆に臨場感を高めるのに一役買っていた。当時のエロテープは、ラブホテルなんかに盗聴器を仕掛けて録音したものを、そのまま発売しちゃってるいわゆる「盗聴テープ」が主流だったんだけど、ホントに録ったまんまで売っちゃってる的なやっつけ製品だったがために、セックス前後の会話まで入っちゃってるのね。その会話をよーっく聞いてると「ああ、この二人は課長とOLの不倫なんだな…」とか、プライベートな部分までそれがあまりにもリアル…コーフンしまくったよ。
別のテープでは、セックスの最中ずーっとバックでテレビの音声が流れてるんだけど、その番組っていうのが最近DVD化されたことでお馴染みの「元気が出るテレビ」で…しかもよ~っく聞いてみたら、明らかにボクが見た記憶にある回のものなの。…それ聞いてたら「ボクがテレビ見てゲラゲラになってる同時刻に、日本のどこかではセックスしてたカップルがいたんだなぁ…」なーんて思ってしまい…ますますコーフンして来ちゃってね。それから、ボクのエロテープ・ブームは数年に渡って続き、ますます深みにハマッて行くのだった。
ちなみに大槻ケンヂさんとじゃがたらの最初の出会いは、その昔、大槻さんがが愛聴していたエロ・テープのバックに流れていた音楽があまりにもカッコイイので、曲名もわからないままライブのSEとして使っていたら、それはじゃがたらの曲だとKERAさんが教えてくれた…というものだったと、どこかで聞いたことがある。…イヤー、いい話だなぁ。嗚呼、あの素晴らしいエロテープ文化よ、もう一度…。
<「RoofTop」一月号掲載「北村ヂンのセンチメンタル★高校13年生」より>







